子夜の読書倶楽部

面白かった小説の紹介や、本に関わるオモシロイコトを紹介していきます。

絶対に読むべき おすすめシリーズ小説① 狼と香辛料シリーズ

今回は私が今まで読んできた小説の中で

これは是非読んだほうがいい

シリーズ小説を紹介していきます。

 

おすすめするポイントはたった一つ。

シリーズという長い物語を

ずっとわくわくと楽しめるもの

です!

 

では早速記念すべき第1回目は・・・

 

f:id:midnight-book-club:20191108222038j:plain

狼と香辛料 シリーズ

著:支倉 凍砂

 

ジャンルはライトノベル/ファンタジー

 

この作品は2006年に

正確には2005年電撃小説銀賞を

受賞し、デビューしました。

 

現在は一般的なジャンルのラノベですが

2000年代、まだまだ成長途中だった

ライトノベル業界。

 

当時、多くのラノベがファンタジー

SF、セカイ系のジャンルで

人気を伸ばしていったなか、

狼と香辛料は実に異色のジャンルで

鮮烈なデビューを飾りました。

 

それは「剣も魔法も出てこない」

ファンタジー

 このシリーズの主役は

「行商人」

 

現在でも、似たジャンルは少なく

当時、私はこれはラノベか?と

衝撃をうけ、同時にこの

狼と香辛料の厳しくも甘い世界の

虜になってしまったのを覚えています。

 

では何故、この異色の物語が多くの人を虜にしたのか。

その理由を紹介していきます。

 

舞台は中世ヨーロッパ風の異世界

なのに、この物語には先ほども言いましたが

魔剣や魔法は一切存在しません。

かっこいい名前の武器や、

魔法を秘めたアイテム・・・

なんてものはでてきません。

 

でてくるのは自分たちの利益を

ただひたすらに追及する商人達。

英雄譚に残るような戦いはなく、

泥水をすすり、靴を減らし、

汚い方法で混沌とした資本主義の世界で

頂点を、最大の利益を目指す大人達の

物語です。

 

ラノベファンタジーの基本、

剣と魔法や美少女、美少年が

主人公の英雄譚ではなく、

ただひたすらに金儲けを追求する商人を主役にした考えには

読んだ当時の私には初めて読む

経済学の物語でした。

 

物語の基本は、経済学をもとに

世の情勢を読み、商機を見出し

いかにお金儲けし、成り上がるか。

いかに自分の利益の最大化を目指すか。

 

そういったエコノミクスの考え

の物語を支えています。

 

異世界でたとえ売るものは違えど、

現在の経済学やエコノミクスの考えを

基本としたやり取りやストーリー構成

には今までとは違ったファンタジー

の楽しみ方ができます。

 

ちなみに作者の支倉凍砂さんは

経済学部出身、

どおりで専門性の高い、

経済のお話が書けるわけですね。

 

特に為替を利用した話や、

販路を独占する話は面白い、

そして自分達の身の回りに溢れている

商品達の背景にはもこんなことが

あるかもと実感を

伴って楽しませてくれます。

 

ラノベでここまで、奥が深く

そして経済学に興味を持つ物語に

出会えた私は本当に幸運でした。

 

さてここまでは、大まかなシリーズ全体の

物語の面白さを紹介させていただきました。

 

次回は狼と香辛料シリーズ

う一つの面白さ

主人公「ロレンス」と

ヒロイン「賢狼ホロ」の

甘酸っぱく、どこか儚いおとぎ話の様な

恋愛模様を紹介したいと思います!

 

ここまでで読みたいと思ったかた!

最寄りの本屋に走って下さいな。

 

そして行商人の物語へ

是非是非旅して下さい。

 

追伸、

シリーズ本編で16巻ありますので

年末年始に読むのがおすすめですよ。

 

【5分の暇つぶし】赤と夏 3/3【短編小説】

f:id:midnight-book-club:20191009004147p:plain

夏祭り 自作小説 赤と夏③

しかし、ナツが俺を愛してなかった

とは言えない。

むしろどの男にも見せない弱みを

俺にだけ見せてくれた。

彼女は何回俺の前で泣いたのだろう。


寒い冬には俺が寒がらないように暖房を一日中入れてくれた。

後日来た請求書を見て青ざめていたのは

彼女の名誉のために誰にも言わないでおこう。

請求書が来てからも暖房はずっと部屋を暖めてくれた。

その暖かさは彼女の愛だったのかもしれない。

朝ごはんと夜ごはんはいつも一緒に食べた。

彼女は俺の好物ばかりをくれた。

その生活のせいか俺は一年前より少し肥えた。
 

 俺に何度もナツは愚痴を

こぼし泣いていた。

俺に何度も相談をした。

俺はまじめに答えていたのに

「あなたに話してもダメだよね。」

と薄く笑うナツを見るときつく胸が締め付けられた。

「あなたは冷たくて気持ちいいね。」

そう言われた時は思わず

飛び跳ねるほど喜んだ。

ナツはそんな俺を見て

びっくりしていた。

その後、二人で笑いあったのは

いい思い出だ。

 

 そんな一年の生活が終わろう

としている。

目の前で。

もう一つの部屋には彼女と男がいる。

そいつはナツの会社の上司だ。

10歳上と前に言っていたので35歳ぐらいだろう。

男は浮気がばれたので別れてほしいと言っている。

ナツは泣きながらいやと叫んでいる。

俺は彼女たちを相変わらず止めにはいかない。

俺がどれだけ声を上げても無駄だからだ。
男の怒鳴り声が大きくなる。

嘘つきとナツの声が部屋の壁を揺らした。

絶対ばらしてやるとナツの声がアパートに木霊する。

他の住人にはいい迷惑だろう。

そう思っていると声が不意に止み、

目の前に隣部屋の扉が倒れてきた。

そして、その扉の上には仰向けに倒れたナツがいた。


倒れた扉の向こうの男が肩で息をして立っている。

夜の静けさのなか、男の息遣いだけが響いている。

俺の部屋は電気がついていないので

男に後光が差しているように見える。
ふとナツを見ると豊かな胸に一本の包丁が刺さっている。

そして、赤色が彼女の周りを包む。

その姿はどこか俺と似ていると思った。

男は俺を無視してスーツの内ポッケから出したハンカチで

慎重に包丁の柄を拭き、慌てて部屋から出ていった。
 

 残されたのは真っ暗な部屋の中に真っ赤な彼女と俺だけだ。

彼女に触れようとした。それは簡単なことのはずだった。

しかし、なぜか彼女に触れられない。

目の前に見えない壁があるようだった。
 

 朝日が差し込むよりも前に誰かがアパートの部屋のドア

を開けて入ってきた。足音からして五人ぐらいだろう。

それと同時に朝日が部屋に差し込む。

警察官だった。彼らはすぐに狭い部屋の中に彼女を見つける。

そして、正面から俺を見る。

 

「ひでえ有様だな。

下の住人から連絡を受けて、

痴話喧嘩かと思ったら殺人かよ。」

「部屋が荒らされてないこと見ると、

突発的なものですかね?」

「まだ、何ともいえねえなぁ。

おい、ほかの住人から彼女の

こと聞けたか?」

「はい。名前は田中 奈津。25歳OL。

私生活については彼女この部屋には

何人もの男を毎日連れ込んでいたようです。」

「っち。どうやらその男たち一人一人に

聞く必要があるな。めんどくせえ。」

「まま、そういわずに。手分けすればいいんですから。」

「ん?」

そういって年のとった警察官は顔を上げる。

「あいつに聞けば、すぐわかるな。」

そういって指さした先には大きく育った

真っ赤な金魚が水槽の中をゆったり泳いでいた。


ー了ー

【5分の暇つぶし】赤と夏 2/3【短編小説】

 

f:id:midnight-book-club:20191009004147p:plain

赤と夏 ナツと俺の生活 小説②


花火余韻が消え始めたころ、ナツは戻ってきた。

すこし驚く。

普通の人間は一回俺のもとを去ったら、

もう二度と来ない。

驚く余韻にも浸れないまま。俺は彼女に強引に、

抵抗する暇もなく連れていかれた。

今思い出せば、初めてナツの自分勝手さを感じた時だった。
 

祭りの屋台にあった水風船の様に色とりどりの

光が灯る大通りをナツに振り回されながら移動する。

そこに俺の意思はなかったが

その時間はなぜか心地よく感じた。

彼女が向かった先は簡素なビジネスホテルだった。

狭い部屋は思ったよりもきれいで、

ベッドと椅子が一つづつ。

簡素な部屋の雰囲気が派手なナツと

なぜか妙に合っていたのを覚えている。

俺はぽつんと置かれている古びた椅子の上に乗った。

ナツはぼふんとベッドに横たわった。

そのままナツはうつぶせになりながら少し話した。
 

ナツは最近、三年付き合った男に振られたと言った。

傷心を癒すために花火を見たかったので

わざわざ三駅離れたのこの夏祭りにきた。

そして、俺を見かけて一目ぼれしたそうだ。

「普段の私ならこんなことしないのに」といった。

枕に顔をうずめながらつぶやくナツに

俺はそうかとだけ答えた。

話はナツの一方的なまま、彼女の寝息が

聞こえ始めるのと同時に終わった。

俺はそのまま椅子の上で眠った。
 
 翌日の夜、ホテルから俺は彼女の家にいた。

彼女はコールセンターで仕事をしていた。

ナツの派手な雰囲気にそぐわないほど

ずいぶんと安っぽいアパートに彼女は住んでいた。

 

質素な部屋に俺とナツだけ。

「ここにずっといていいよ」

ナツはぼそっとつぶやいた。

俺はその言葉を受け入れた。
 

しばらく生活を共にしていると彼女の本当が見えてくる。

彼女は綺麗だった。それは生まれ持ったものであり、

生きてく上で身に着けたものだった。

そして、男癖も悪かった。

 

月に何回も違う男をこの部屋に招いた。

よくナツは知らない男たちと抱き合っていた。

それはナツのストレス発散行為であり、

自傷行為でもあった。

一方、ナツと俺は触れ合う事はなかった。

毎日の変化の中で変わらないものは

安アパートの部屋と俺とナツだけ。

俺たちはそれに満足していたのだった。

 

 四ヶ月経ち、俺は別の部屋に移された。

原因はナツの部屋を訪れた男が俺を指さし、

「あいつがずっと見てるのが気持ちわりぃ」

「気にしないで」

と彼女は言ったが男の拒絶は無くならなかった。

安アパートにある二部屋のうち、

物置として使われている部屋が俺の部屋になった。

雪が降り始めた十二月の事だった。

【5分の暇つぶし】赤と夏 1/3【短編小説】

f:id:midnight-book-club:20191009004147p:plain

赤と夏 ナツとの出会い 小説① 夏祭り

俺はナツという女と同居している。苗字は知らない。


ナツの事を話すといくら時間があっても足りない。

なぜなら俺はナツの事をよく知りすぎ

ているからだ。

一つナツの事を言うならば自分勝手で自由奔放だ。

自分の意見をはっきり言うし、曲げない。

それはとても強いことでもあるし、弱いことでもある。

この前、彼女の女友達が家に来た際も料理手順の些細な違いから大喧嘩になっていた。

 

俺はそれをただ見ていただけだった。

それは決して彼女たちの間を取り持つのが面倒くさいわけではなかった。

俺は知っているのだった。

俺がなにを言っても彼女は決して耳を貸さないという事を。

 

俺とナツが出会ったのは一年前の夏祭りだ。

俺が屋台の前でぼうっとしていた時、彼女から声をかけてきた。

「君、すっごいかわいいね。」

俺はその言葉に反応しなかった。

それは当時の俺には言われ慣れた言葉だった。

何人もの女が俺にその言葉をいった。

しかし、俺はそれを特別うれしいとは感じなかった。

そんなのはありきたりな言葉だ。

声をかけてきたやつは俺以外にも何度も言っていただろう。

そんなのはありふれた、そしてありきたりな言葉だ。

 

本物がほしい。ありきたりで上っ面のものではなく、

心に響いて、ずっしりとずっと鉛の様に心に沈み続ける本物が。

 

当時の俺はそんな想いに囚われていた。

それは俺が今まで自由だと思っていた世

界が

嘘だと気づいた頃だったと思う。

 

自分が選択し

たと思ったことは誰かの意図通りだったし

選んだことは選ばされていた。

そんなごく当たり前のことに気づいた頃だったと思う。

しばらく俺の目の前で手をひらひらさせていたナツだったが、

俺が反応しないのであきらめたのかどこかに行ってしまった。

よくあることだ。

花火が空を彩る。さまざまな色が真っ暗な海を自由に泳ぎ終わる。

それを見て人々は感動し、声を上げる。それと同時に祭が終わりに近づいていることに

少しの寂しさを人々は覚える。

だが俺は寂しさなど感じなかった。

むしろ、花火の音は福音の様に聞こえた。

まばゆい光が消え、暗く濃密な黒の中で眠りたい。

夏の空気はすぐに生暖かくなり、息を吸いずらくなるのが嫌いだった

意外な出会いを!いつもとは違う本の探し方①

本の探し方 その1

こんばんわ!
読書の秋!到来ですね。

暑さも和らぎ、秋風が心地よいこの季節は読書にピッタリ。

でも読みたい本がないなぁ
面白い本を探すのがめんどくさい。。。

なんて方もたくさんいると思います!
そこで今回は『面白い本の探し方』をご紹介したいとおもいます!
※完全に我流ですが・・・。

 

1、 表紙から選ぶ
 最近は本の表紙に有名なイラストレイターや漫画家の方

がカバーを描かれていますね。

特に伊豆の踊子なんかはジョジョの荒木さんが描かれているのを見て素敵!

と思ってしまいました。

 小説は基本的に挿絵がないため、キャラクターは自分で妄想していますが

素敵な表紙があれば物語に入りやすく、好きなイラストだったら

物語に熱中してしまいますね。

一度、あらすじや著者名を一切気にせずに表紙だけで本を探して見てください!

いつもなら出会いない物語と出会えるかもしれませんよ!

 

2、 図書館カニ歩き
さて次は本屋で本を探すのではなく、図書館から本を探す方法です。

書店も図書館も『本がたくさんある』場所には変わりませんが

大きな違いがあります。

それは・・・・

本屋には新しい本と人気本しか置いてません。

やはり商売のため、本屋には間違いなく最近のトレンドを

しっかりと抑えた面白い本ばかり置いてあります。

一方で図書館には古い本から新しい本までまるで地層のように
色々な年代の物語たちが重なっています!

 

最近の本を読み尽くしてしまった方は是非図書館で

『あ』の棚から順番に本を読んで
みるのも意外な出会いがあっていいかもしれませんよ!

 

また、面白い本の探し方に気づいたらご紹介したいと思います!

それではいい読書の秋を!

【読書の仕方】積み本って素晴らしいですね。【積み本の消化】

f:id:midnight-book-club:20190226000914j:plain

積み本 読書 ライフハック 読み方


積み本。

 

買った本を読まずにしばらく・・・。

気づいたら本の山が出来ていた…。

なんていう読書好きの間ではあるあるな出来事ですよね。

 

積み本と聞くとなんか

「溜まってる」「もったいない」

「全部読めるか不安」

なんて考えが浮かんできます。

折角出会った物語を義務感でなんとなく

読むのってなんか「もったいない」と思いませんか?

 

そこで今回は私が実際に行っている

「積み本を楽しむ読書のやり方」を

つらつら書いて行こうと思います!

 

①積み本は宝の山!

 まず、積み本はネガティブなイメージがあると思いますが

その前提を覆すことから始めましょう。

あなたの目の前にある本は

「読むかわかない無駄だったかもしれない本」

から

「自分を楽しませてくれる物語の宝」

なのです。

そんなワクワクするような宝物が目の前に

たっぷりと積まれているのです。

飛びつかずにはいられないでしょう!

 

②1週間のサイクルを考える!

 さて次は読書の習慣をつけるです。

本を読むのは好きだけど、読み始めるまでに時間がかかる。

そんな人は少なくないでしょう。

何を隠そう私もその一人です・・・。

ですが、下に書いた様に曜日によって読む物語のジャンルを

きめることでスムーズに本を手に取ることができます。

そう!自分の心の調子を整える様にサプリメントを取る感じです。

 

月曜・・・短編

火曜・・・短編

水曜・・・明るい物語

週末・・・長編小説

 

さてここまで独断と偏見で積み本の消化方法を
書いてきましたが、いかかでしょう。

ご自身の積み本は消化できそうでしょうか?

 

 

まあ、結局は自分が読みたいときに読むのが一番なんですけどね。

【理想】物語と紙に埋もれて生きていきたい【スローライフ】【読書】

f:id:midnight-book-club:20190226000914j:plain

紙 物語 本 読書 スローライフ

【物語と紙】

都会の街並み。煌々と輝くビルの群れ。

駅は人の洪水で溢れかえっている。

下を見て、空を見上げれば世界は

私を閉じ込める様に

コンクリートで包み込む。

駅からあふれる人の波は私を飲み込み、

多くの音で私を溺れさせる。

 

私は息を止め、苦しみながらも波が過ぎるのを待つ。

私が流され、波の一部になってしまわない様に。

 

・・・なんてちょっと詩的なものを書いてみました。

なんだか照れ臭いですね。

 

さて、今日の独り言をつらつら書いていきます。

 

昨今、スマートホンやタブレットの普及し、電子の時代

といっても過言ではないでしょう。

 

かつては、紙に印刷されていたポスターは

あまり見ることがなくなり、

代わりに見やすく効率の良い電子掲示板が

進出しています。

 

同様に今は電子コミックや小説が当たり前になり

本屋離れが大きな話題になっています。

 

確かにどこでも、簡単に、保管も場所を取らない

効率的な電子書籍は優れたものです。

ですが私は紙で楽しむ読書が好きなのです。

 

水に弱く、簡単に折れ曲がり、場所をとる

不便な紙の本が好きなのです。

 

紙ににじむ様に物語を作る文字

指先でページを一枚一枚めくる感触

物語が進むにつれ、左手の厚みが少なくなる悲しさ

 

どれも読書を彩る重要な要素だと私は思います。

私は読書を楽しむと同時に紙というもの楽しんでいたのか

と最近思うようになりました。

 

物語とは頭で楽しむもの

本とは体で楽しむもの

なのでしょうか?

 

だとしたら私は

物語と紙に埋もれて生きていきたい

と思う今日この頃。