子夜の読書倶楽部

面白かった小説の紹介や、本に関わるオモシロイコトを紹介していきます。

【感想文】写楽 閉じた国の幻 島田荘司【面白すぎる本格ミステリ】

f:id:midnight-book-club:20200120015028j:plain

写楽 閉じた国の幻 島田荘司

f:id:midnight-book-club:20200120015028j:plain

写楽 閉じた国の幻 島田荘司


新年明けましておめでとうございます。

 

今年もどんどん面白い小説や物語、コンテンツを

ご紹介できればいいなとおもいます。

 

さて新年一発目のブログですが何の本について書こうかな

と思ったとき、ずっと気になってなかなか読んでいない小説が

ありました。

 

写楽 閉じた国の幻

島田荘司 著

島田荘司さんといえば、占星術殺人事件でデビューされ

本格ミステリの大御所。

私も上記の小説や「眩暈」「異邦の騎士」などの

御手洗探偵シリーズを夢中になって読み漁りました。

なんといっても読者の思考を誘導するような謎と

混沌とした物語を爽快に解決するロジックには

まさにこれぞ本格ミステリの神髄的な面白さが詰まっています。

 

そんな中、しばらく前に買った写楽 閉じた国の幻ですが、

御手洗探偵が出てこない物語なため、積本なっておりました。

そして、ようやくこの日曜日に読んだのですが・・・・

 

今まで読まなかった事を後悔したくらい本当に面白かった。

久々に謎解きのわくわくを

考えて、感じられる小説でした。

なんと大きな謎、そしてそれを解決するために急転する物語、

最後の美しいくらいの推理。

もう本当に島田荘司さんの描く「本格ミステリ」を時間も忘れて

楽しむことができました。

 

ではざっくとあらすじから感想を書いていきます!

私の未熟な文章で紹介するのもおこがましいですが

この興奮はなんとしても誰かに伝えたい!!!

 

【あらすじ】

 北斎・浮世絵研究に身をささげた研究者、佐藤。

一人息子開人と、元準ミスの嫁と幸せな毎日を過ごしていた。

そんな中、謎の欧米文が書かれた浮世絵を発見する。

常識では考えられない浮世絵を発見し、その謎を夢中で追っていた中、

一人息子の開人が目の前で回転扉に挟まれ、死んでしまう。

最愛の息子を失い、嫁と義父からは殺人者扱いを受け、

家も追い出され実家も失う。

全てを失い、絶望の中回転扉事故の調査委員会に呼ばれた佐藤は

その場にいた東大教授、絶世の美女の片桐教授と出会い手にしていた

謎の欧米文がオランダ語といわれ、

さらにその浮世絵があの謎に包まれた東洲斎写楽の書き方と

酷似していることに気づく。

世界的に有名な画家でありながら現在まで全く正体不明の画家写楽

全てを失った佐藤は取りつかれように写楽の謎に惹きこまれていく。

写楽は誰なのか。

200年間続く写楽の謎を佐藤は解くことはできるのか。

 

【感想】

 さて前述のあらすじに書いたようにこの物語の主人公は

浮世絵研究者で幸せな家庭を持つ佐藤。

彼は一人息子の開人の死をきっかけに人生はどんどん転落し

自殺を考えるほどにどん底に落とされてしまいます。

失意の中の彼を救ったのは200年間正体不明ですべてが謎に包まれた

写楽という世界的な浮世絵画家。

 

どん底にいる主人公は謎を解き、

人生を取り戻すことができるのか

そんな主人公のピンチが読者をぐっとこの物語の世界にひきつけます。

 

そしてもう一つの要素であり、この物語の核である

東洲斎写楽とは何者なのか

というあまりのも大きすぎる謎。

 

教科書に載るぐらい有名な人なのに全くの正体がわからず、

幻のような巨匠の存在の謎に迫るこの作品。

物語文中には写楽や同世代の浮世絵画家の資料も提示され

現実とリンクした謎解きが展開されていきます。

 

本格ミステリといえば殺人事件がメインと思われがちなのですが、

私は謎と伴うその推理の過程の緻密さ、そして整合性のある解決がおもしろさの

真髄なのではないかと思います。

この物語ではその謎解きの過程が非常に面白い。

仮説と唱え、検証し、また仮説を立てる。

この繰り返しを行うことで無限に広がる可能性が集約されていく

謎解きに臨場感を持ちながら物語を読み進めることができます。

 

小説を神の視点から読むのではなく、

物語の登場人物と同じ目線で謎解きを進めることができる。

 

物語やキャラクターの言動を楽しむのでなく謎解きを楽しむ。


写楽 閉じた国の幻

時間も忘れて謎ときに夢中になれる

本格ミステリ小説でした。

読んでいない方、是非是非読んで下さい。


読まないと損してしまいますよ笑


↓リンク貼っておきます!

https://www.shinchosha.co.jp/sp/book/103312/