子夜の読書倶楽部

面白かった小説の紹介や、本に関わるオモシロイコトを紹介していきます。

ひとり旅について考えてみる。【子夜の独り言】

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ひとり旅 ブログ 


貴方にとって旅とは何だろうか。

 

それは美しい景色を見ることや、その土地の美味しいものを食べること、

もしかすとドライブすることや、電車にのる理由かもしれない。

 

私にとって旅とは何だろうか。

そんなことを不意におもって、今までの旅やこれからしたい旅の

事について一つじっくり考えてみることにした。

 

旅とは「本当の自分を取り戻すこと」なのだ。

 

最近、よく自分は仮面を被り続けているとおもう。

きっとこれは私だけでなく、普通の人ならだれでもそうだろう。

社会の一員として生きていく中で、

「善い人」であることは非常に重要なのだ。

 

最初から善い人であり、善い人であり続ける。

 

それが今は求められて、世間の評価基準になっている。

善い人であることは自分では絶対決めることができない。

何が「善い」かは他人の評価でしか決められないからだ。

 

だから仮面を被り続けるうちに、その仮面が本当の自分に

なってしまうのが怖いのだ。

 

自分がいいと思ったことでも、

他人がよく思わなければやらない。

自分がいいと思った考えでも

否定をされないよう外では言わない。

 

そんな積み重ねがいつしか本当になり、

他人の評価でしか行動できなくなるのが怖いのだ。

 

だから私はひとり旅をするのだ。

だからひとり旅が好きなのだ。

 

知らない土地で普段の自分を知らない人たちと

出会い、話している中で初めて自分が思っていることを言える。

それは普段所属して環境や関係が壊れる不安が

ないからできることなのだ。

利害関係が全く存在しない場所にたどりつく。

 

そして仮面を外した自分を改めて見て、

自分がやりたいことをじっくりと考える。

 

ひとり旅はいつもは隠している自分を

再認識する事なのだ。

 

そんな結論にたどりついたとこで

折角なので文章にしてみることにした。

 

人前ではっきりと思ったことを言えない、

臆病な私のひねくれた、けども大事な考えを。

 

 

【感想文】写楽 閉じた国の幻 島田荘司【面白すぎる本格ミステリ】

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写楽 閉じた国の幻 島田荘司

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写楽 閉じた国の幻 島田荘司


新年明けましておめでとうございます。

 

今年もどんどん面白い小説や物語、コンテンツを

ご紹介できればいいなとおもいます。

 

さて新年一発目のブログですが何の本について書こうかな

と思ったとき、ずっと気になってなかなか読んでいない小説が

ありました。

 

写楽 閉じた国の幻

島田荘司 著

島田荘司さんといえば、占星術殺人事件でデビューされ

本格ミステリの大御所。

私も上記の小説や「眩暈」「異邦の騎士」などの

御手洗探偵シリーズを夢中になって読み漁りました。

なんといっても読者の思考を誘導するような謎と

混沌とした物語を爽快に解決するロジックには

まさにこれぞ本格ミステリの神髄的な面白さが詰まっています。

 

そんな中、しばらく前に買った写楽 閉じた国の幻ですが、

御手洗探偵が出てこない物語なため、積本なっておりました。

そして、ようやくこの日曜日に読んだのですが・・・・

 

今まで読まなかった事を後悔したくらい本当に面白かった。

久々に謎解きのわくわくを

考えて、感じられる小説でした。

なんと大きな謎、そしてそれを解決するために急転する物語、

最後の美しいくらいの推理。

もう本当に島田荘司さんの描く「本格ミステリ」を時間も忘れて

楽しむことができました。

 

ではざっくとあらすじから感想を書いていきます!

私の未熟な文章で紹介するのもおこがましいですが

この興奮はなんとしても誰かに伝えたい!!!

 

【あらすじ】

 北斎・浮世絵研究に身をささげた研究者、佐藤。

一人息子開人と、元準ミスの嫁と幸せな毎日を過ごしていた。

そんな中、謎の欧米文が書かれた浮世絵を発見する。

常識では考えられない浮世絵を発見し、その謎を夢中で追っていた中、

一人息子の開人が目の前で回転扉に挟まれ、死んでしまう。

最愛の息子を失い、嫁と義父からは殺人者扱いを受け、

家も追い出され実家も失う。

全てを失い、絶望の中回転扉事故の調査委員会に呼ばれた佐藤は

その場にいた東大教授、絶世の美女の片桐教授と出会い手にしていた

謎の欧米文がオランダ語といわれ、

さらにその浮世絵があの謎に包まれた東洲斎写楽の書き方と

酷似していることに気づく。

世界的に有名な画家でありながら現在まで全く正体不明の画家写楽

全てを失った佐藤は取りつかれように写楽の謎に惹きこまれていく。

写楽は誰なのか。

200年間続く写楽の謎を佐藤は解くことはできるのか。

 

【感想】

 さて前述のあらすじに書いたようにこの物語の主人公は

浮世絵研究者で幸せな家庭を持つ佐藤。

彼は一人息子の開人の死をきっかけに人生はどんどん転落し

自殺を考えるほどにどん底に落とされてしまいます。

失意の中の彼を救ったのは200年間正体不明ですべてが謎に包まれた

写楽という世界的な浮世絵画家。

 

どん底にいる主人公は謎を解き、

人生を取り戻すことができるのか

そんな主人公のピンチが読者をぐっとこの物語の世界にひきつけます。

 

そしてもう一つの要素であり、この物語の核である

東洲斎写楽とは何者なのか

というあまりのも大きすぎる謎。

 

教科書に載るぐらい有名な人なのに全くの正体がわからず、

幻のような巨匠の存在の謎に迫るこの作品。

物語文中には写楽や同世代の浮世絵画家の資料も提示され

現実とリンクした謎解きが展開されていきます。

 

本格ミステリといえば殺人事件がメインと思われがちなのですが、

私は謎と伴うその推理の過程の緻密さ、そして整合性のある解決がおもしろさの

真髄なのではないかと思います。

この物語ではその謎解きの過程が非常に面白い。

仮説と唱え、検証し、また仮説を立てる。

この繰り返しを行うことで無限に広がる可能性が集約されていく

謎解きに臨場感を持ちながら物語を読み進めることができます。

 

小説を神の視点から読むのではなく、

物語の登場人物と同じ目線で謎解きを進めることができる。

 

物語やキャラクターの言動を楽しむのでなく謎解きを楽しむ。


写楽 閉じた国の幻

時間も忘れて謎ときに夢中になれる

本格ミステリ小説でした。

読んでいない方、是非是非読んで下さい。


読まないと損してしまいますよ笑


↓リンク貼っておきます!

https://www.shinchosha.co.jp/sp/book/103312/

 

 

 

 

年末年始一気見!面白すぎるアニメ DARKER THAN BLACK -黒の契約者-

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さてさて、今まで小説、漫画と
面白い物語を紹介してまいりましたが
今回はぐるっと媒体を変えて、
ストーリーとキャラが素晴らしいアニメ

DARKER THAN BLACK -黒の契約者-
のご紹介をしていきます。

年末年始、暇だなぁ〜とか
遊んでばっかりでたまには
インドア活動したい!とか思ってるあなた
これ、かなーりおすすめですよ!

さて、このアニメは2007年に放送された
深夜アニメ、制作はBONES
ジャンルはSF、アクションです。

ざくっと内容紹介!
ある時、突然東京にゲートと呼ばれる
謎の構造物が出現した。時を同じくして、
世界中に、契約者と呼ばれる超能力を
持った人間達が発現していく。
彼らは協力な能力を使う代償として
「対価」と「人間性」を失わなければ
ならなかった。
人間として、何かを失った契約者と
自分達とは違う契約者を恐れる人間達。
互いが理想を目指し戦いは始まっていく。

超能力&SFそれもご都合主義の能力ではなく、
何かを犠牲にしなければ使えないなどの
設定はなんだかリアリティがあって、
僕は好きなんですよね〜。

さあ、そして気になる物語ですが、
人の死や裏切りを明確に描いている一方で
信頼を描いているシーンは多くはありません。

主人公である黒も仲間に対して、
信頼を見せることは多くはないです。
それはこの壊れた世界で「信頼する」
という行為の難しいさをリアルに伝えて
いるんじゃないかなぁと思ってみたり。

この物語の面白さ、テーマは
存在が異なるものが
互いの理想や信念を曲げずに、
誰かの為に戦うことの魅力を
伝えてくれる気がします。

にしても、感情を持たないドール銀と
人間らしさの全くない黒が
だんだんと気持ちをひらいて
お互いを思いやる過程は
いつ見ても夢中にさせてくれますね。

この二人の関係性がなんとも魅力的なんです。

ああ、キャラクターをちょこっと
紹介しておきます〜

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主人公:黒
 契約者になる前から「黒の死神」と
世界中から恐れられた人間。
妹は契約者だったが、ヘブンズゲート事件から
消息をたってしまった。妹の失踪の謎と、
世界の矛盾を追い続けて戦っている。
能力は電撃を使えること。
めっちゃ無口で、クールで強くて
かっこいいですよ〜

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ヒロイン:銀
 ドールという、契約者を補助する感情を
完全に失ってしまった元人間。基本的には
使い捨てされる存在であり、自分の意思は
持たない存在。だか、黒と関わる内に
いつしか、感情を取り戻す様に、、、?

などなど、文章多めの今回になりましたが、
まあ、ここでは全て語り尽くせないぐらい
ストーリーもキャラの関係性も複雑で
面白いんです!

年末年始インドア活動に、励みたい!
って考えているあなた。
是非是非、DARKER THAN BLACK -黒の契約者-
を視聴してみてはいかがでしょう?

絶対読むべき漫画シリーズ① イエスタデイをうたって

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イエスタデイをうたって 著:冬目 景

気づけばもう12月。
クリスマスも近づき、

町はどんどんきらびやかに楽しさを増してきますね。


さて、そんな雰囲気なくなってしまえと願って止まない私です。

 

そんな思いを胸にそっとしまって

今回ご紹介するのは恋の季節にふさわしい?

甘酸っぱい大人な漫画。

イエスタデイをうたって
著:冬目景

1998年に出版されたこの漫画は

休載などを挟みながら2015年、全11巻で完結しました。

ジャンルは恋愛、夢、仕事などの私たちが直面している日常の問題を

悩み、助け合いながら未来を手探りで探していく人間ドラマとなっています。

 

 ざくっとストーリーをご紹介。
 

 主人公リクオは大学卒業後、やりたいことが見つからず

フリーターで毎日小さな喪失感を持ちながらすごしています。

ある出来事をきっかけに真っ黒なカラスを連れた少女、

ハルがリクオを好きになり、二人の距離は恋人とまでは

いかないもののどんどん近づきいていきます。

そんななか、リクオの大学の同級生で好きだった

森ノ目榀子がリクオの目の前に現れ、

三人の関係は大きく変化し始めます。
 

三人は過去を受け入れ、そして未来を見つけることはできるのだろうか。


この漫画が大好きな理由は
作品の雰囲気
とても共感していまうキャラクター達の悩み
です!

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ヒロイン 野中晴 ハル

けっして悩みは解決するものではなく、

どうやってその悩みと付き合っていくか

をキャラクターたちが決めて、

生きていくリアリティのあるストーリーは

なかなか今求められていることではないでしょうか。

 

悩んで、傷ついて、そして再生していく。

 

主人公が女の子にモテモテなんて都合のいい

いかにも恋愛漫画の設定ではありますが

この物語の根底には

現実の問題をうまく取り入れ私たち読者に対して

現実と向き合う機会をくれる物語です。

 

そして、主人公たちが立ち直って進んでいく姿には

自分も頑張れると大きな勇気と小さな自信を貰えますよ。

 

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完結巻ではなんとも言えない寂しさが・・・

 

年の終わりの寂しさをちまっと噛みしめながら、

暖かい部屋でたっぷり時間を用意して読んでみて下さい。

 

あとこれだけは伝えておきたいです。

私は絶対にハル派です!

 

 

それではまた!

 

 

絶対に読むべき おすすめシリーズ小説④ ばいばいアース

さてさて、お日にちが空きましたが
この前絶対読むべき小説シリーズのつづき

ばいばいアースのご紹介をしていきます。


作品の面白さは
冲方さんの独特の世界観
・ハードボイルドとチャーミングさを合わせ持つキャラクター
・ドラマチックかつ、深みとテンポのいいストーリー
とご紹介させていただきました。

今回はこの面白さの
・ハードボイルドとチャーミングさを合わせ持つキャラクター
について語っていきたいと思います。

 

まず、主人公でヒロインの
ラブラック=ベル
 彼女はこの植物が動き、獣たちが人間のように暮らす世界

のたった一人の人間です。

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世界にたった一人の人間 ラブラック=ベル

彼女はこの世界での居場所を探すために

様々な場所をめぐり、様々な種族と人達と出会います。

身体能力が高く、この世界の並みの人間では

まったくもって歯が立ちません。

性格はまっすぐ。

自分が善と思ったことに曲げず、

何度も何度も立ち上がり逆境に立ち向かう、

まさに戦う騎士みたいなヒロインです。
 ですが、この世界にたった一人の人間ということで

どこかいつも孤独を抱え、そして自分とは何かを考えています。


 キュートな姿からは想像もつかないような彼女の生い立ちは
強んだけど守ってあげたくなる少女という

キャラクターのギャップがとても魅力的なんです。

 

さて次はそのベルにとって大事な存在の

エスティオン=アドニス

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すべてを腐らせる呪い クエスティオン=アドニス



 彼は人間ではありませんが「触れたものすべてを腐食させる呪い」

をもっていてベル同様に孤独に包まれています。

呪いのため、大事なものに触れることができない
その苦しみはいつしか彼を近寄りがたい存在へとさせてしまいます。
彼も孤独を抱え、そして嫌われているため

一定の場所にとどまることはなく、

いつもどこかを旅しています。

 

そんな居場所を見つけたいベルと

居場所を見つけてはいけないアドニス

同じ孤独を抱えながら、

孤独を嫌いながら生きている二人が出会ったとき、

この幻想郷のような甘い世界は終わりを迎えるのでしょうか。

きれいなものにはとげがある
という諺のようにこの桃源郷の裏には

何が隠されているのでしょうか。

魅力的なキャラクター達に愛着を持ちながら

ダークファンタジーの濃厚でディストピアな世界へ

是非のめり込んでみてください。

 

ではまた!気がむいたときに更新していきます。

次は漫画も紹介していきたいな~

絶対に読むべき おすすめシリーズ小説③ ばいばいアースシリーズ

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ばいばいアース 冲方 丁


さてさて前回の

絶対に読むべきおすすめ小説シリーズでは

異色のラノベ狼と香辛料」をおすすめしました。

 

今回もファンタジー小説のご紹介です。

ばいばいアース

著:冲方 丁

 

 

この小説は2000年に発行されたファンタジー小説です。

冲方さんといえば天地明察など映画化された作品から

マルドゥックシリーズ・蒼穹のファフナーのアニメ化など

様々な人気作品を今も生み出し続ける作家さんですね。

 

このシリーズはそんな今をときめく作家さんの

デビュー2作目のシリーズ小説になります。

 

まず、この作品の面白さは

冲方さんの独特の世界感

・ハードボイルドとチャーミングさを合わせ持つキャラクター

・ドラマチックかつ、深みとテンポのいいストーリー

まあ、いってしまえば、すべてが面白いし魅力的だということです。

 

ストーリーのあらすじは

花が生き生きと動き、人々は動物の姿をした異世界

そこにただ一人生まれた人間「ブラック=ベル」

一人ぼっちの少女が強くも儚く戦い、

「自分を受け入れてくれる場所」を探す旅の物語です。

 

魅力①独特の世界観

 先のあらすじに記載したように

「花」(植物)は動物のように生き生きと動き、

「人間」はウサギや人魚などの動物的外見と特徴を持っている。

世界は都市<パーク>と都市外<アンダードック>に二分され、

正義と悪に分かれ争っている。

といった世界が舞台になっています。

 

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どちらにも所属しない 主人公 ベル

 

分かりやすい世界構図ではありますが

そこに種族と正義と悪の主観的なカテゴリ分け

をすることによって読者に対し、

世界観を押し付けるのでなく、

何が正義なのか?

または微妙な世界の歪みを読者に深く印象付け、

その世界に導いてくれます。

 

ファンタジーといえばわくわくするような異世界

ぱっと思い浮かびますが

「ばいばいアース」のように詳細な舞台設定と

見方によって変わる正義と悪のリアルさは他のファンタジー小説とは

一風変わったダーク感を見事に醸し出しています。

 

さてさて、ここまで物語のあらすじと世界観について

簡単にご紹介させていただきました。

 

次回はさらに「ばいばいアース」の面白さの核になる

②ハードボイルドかつキャッチャーなキャラクター

③ドラマチックなストーリー

についての魅力をご紹介していきます!

 

気になった方は是非「ばいばいアース」を読んでくださいね。

 

 

 

絶対に読むべき おすすめシリーズ小説② 狼と香辛料シリーズ

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狼と香辛料 ホロ ロレンス
さてさて、今回は

まじで最高な

狼と香辛料シリーズ
面白い要素その2
主人公ロレンスとヒロインホロ
について、紹介していきます。


このシリーズの主人公 ロレンス
20後半の行商人。
自分の店を構える事を夢見て、
毎日金儲けに精を出す商人。

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狼と香辛料 ロレンス

ヒロイン ホロはその姿は貴族の美少女
ですが、実は、齢数百歳を超える狼なのです。

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狼と香辛料 ホロ

魔法も登場しないファンタジーですが
ここでようやくファンタジーぽくなりましたね。

賢狼と呼ばれ、人からあがめられてきたホロは
その名にふさわしく、頭脳明晰素で晴らしい起点の利く頭脳を持っています。
タイプでいうと天才タイプ。

一方主人公のロレンスはすばらしいやり手の商人ではありますが
天才でもなければ、貴族の出でもない
ごく一般の平民出身の行商人です。
ただ、他の商人と異なる点は
「度が過ぎるほどのお人よし」
タイプとしては努力した秀才ですかね。

ロレンスは「みんなで笑って利益を山分けするほうがいい」
というほど、普通の利益を独占したがる商人とは異なります。

そんなお人好しなロレンスと天真爛漫なホロは互いにどんどん惹かれていきます。

ロレンスはホロのこの世のものとは思えない美貌、素晴らしい頭脳、そしてなにより
その自由な生き方に。

ホロは今まで生きてきた中で出会ったことのない
突き抜けたお人よしなロレンスに。

ですがお互いプライドが高いため、惚れたなんておもいません。
「惚れたほうが負け」
なんていうかぐや様は告らせたい」張りの意地を張り続けます。



お互いのことが好きなのに、意地を張り続けるそのすれ違いには
やきもきしつつも、甘く物語を彩ってくれます。

一体いつになったらお互い好きって認めるんだ!
なんて思いながら物語を読んでください。

そして、二人のやり取りもこれまた面白い。
ロレンスはあまり女性の相手が得意ではなく、
不器用にホロのことを思いやる様子。

ホロの「わっち」や「くりゃんせ」などなどの花魁言葉を使いながら
ロレンスの心を揺さぶる様子にどきどき、
とても数百歳とは思えない無邪気な笑顔、
そして悩みを吹き飛ばしてくれる自由な生き方に元気づけられることでしょう。

エコノミクスの堅く、難しい物語の中に混じる
甘い恋愛模様はまさに物語のスパイスとなって
あなたを病みつきにしてくれます。


以上、私のお気に入りのシリーズ小説
狼と香辛料
のご紹介でした。


気になった方は是非是非読んでください。
駄文失礼致しました。