【本レポ】奇譚蒐集録-弔い少女の鎮魂歌ー 【五感で楽しむ】【民族学とミステリ】
奇譚蒐集録ー弔い少女の鎮魂歌ー
著:清水朔
あらすじを見たとき、目に入ってきたキーワードは
・骸をなでる美少女
・世間と隔絶された孤島
・島に伝わる恐ろしい伝承
・民俗学ミステリ
世界感やキャラクター性が大好物な私が読まないわけがないです。
最初は最近はやりの読みやすく、かつ分かりやすいストーリーに
よく目にするようになった個性的?なキャラクターが活躍する小説かな?
と思い、ワクワクと若干の冷めた想像を勝手にしながら本を開きました。
最初の1ページ目で全てが裏切られました!
物語を構成する文章は、昔私がドキドキしながら読んでいた
江戸川乱歩や岩崎潤一郎の小説のような、現代人からすると
少し読みにくくもおどろおどろしい雰囲気を十二分もつものでした。
そこには小説の舞台である大正2年という時代と残虐な風習が残る奇妙な孤島の
雰囲気が本から飛び出し、私を包み込んでいる様でした。
そして、キャラクターたちは作者の人形ではなく、その小説の世界で生きている
かのような突拍子もない行動を見せて、始終ワクワクさせてくれました。
※これは、話の筋が通っていないのでなくて
キャラクターが生き生きしているという事です。
と偉そうに語ってみました。
【最後に】
目で見るおどろおどろしい文章。
不気味さをじわじわと出し、ミステリ特有、解決後の爽快感。
深夜、しんとした部屋で読み、ページのめくる音だけが部屋に響く。
そしてページをめくるたびに紙のにおいがほのかに鼻孔をくすぐる。
こんな状況でじっくりと物語を読んだ私は
五感でこの世界を楽しむ事が出来て、至福の読書を味わう事が出来ました。